身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~

 最初にキスをした日から、段階を踏んで慣らされていっているような気がする、今までで一番濃厚なキスだった。

 車内に入ったあとは、じっくりと唇と舌を貪られた。口の中で閑の舌先が触れてないところなどないくらいに、それはそれは丁寧に。
 頭をこてんとシートに凭れさせ、持ち上げることもできなくなったときにようやくキスが解かれて、焦点の定まらない琴音の頬を撫でながら、閑が言った。

『今はまだ――それだけでいい』

 切なげに、そう言った。『それだけ』とは、どういう意味だろう。聞こうと思ったけれど、その時は頭がぼうっとしてしまって、気になったのは彼と別れてからだった。

 ――どういう意味だったのかな。

 その場で聞ければよかったのに、後になってからでは聞きづらい。何せ、キスに酔ってその時は何も考えられなかったのだと告白するようなものだから。

 ぽやんとした脳内をすっきりさせるべく、ぺちぺちと頬を叩く。可乃子の部屋の前に着き、とんとんとドアをノックした。

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