身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~

 可乃子はまたふふっと笑って、それで満足したようにまた仕事の書類に視線を戻した。何が言いたかったのか、つまりはさっきのような子供染みた嫉妬は止めろとそういうことだろう。

 それなのに、可乃子が言いたかったこととは別のところで、琴音は傷ついている。

「ミルクティ、ありがとう。ごめんね仕事するから」

 可乃子は、ペットボトルのミルクティを手に取って蓋を開けると、ひとくち含んでミニテーブルの上に置いた。

 何かを言い返したかった。けれど、その言葉が思い浮かばなかった。何度か唇を開きかけて、閉じて、それを繰り返したけれど、やっぱり何も言えず言葉の代わりに涙が出そうになって。

「仕事の邪魔してごめんなさい」

 それだけ、長い毛足のラグに向かって言い捨てると、可乃子の部屋から逃げ出した。


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