身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
部屋でテスト勉強をしていると扉をノックする音が聞こえ、ひょっこりと可乃子が顔を出す。
『琴音、ごめんね、今日』
『え、何が?』
『閑のこと』
自分ひとり仲間外れにされてしまったみたいで、疎外感を持って寂しくなってしまったのは確かだ。けれど、それは年齢もあるし仕方がないのはわかっている。だから、謝られることでもない。
不思議に思っていると、可乃子は少しばつが悪そうにしたものの、目を逸らさずに言った。
『私たち、付き合ってるの。ふたりの時間邪魔されたくなくて、つい……素っ気なくしちゃったかなって』
『え……あ、そうなんだ』
ドクンと胸の奥が脈打って、苦しくなるのを、どうにか抑えて平静を装う。姉の想いには今日気づいたが、まさか、もう付き合っているんだとは思っていなかった。
『ごめん邪魔しちゃって』
――あの頃から私はいつもふたりの後をおっかけてただけだしね。
胸が痛いのは、疎外感や寂しさのせいだ。
『ううん。琴音こそ、デートだったんでしょ? 試験勉強の図書館デートなんて高校生らしくていいわね』
『えっ、違うよ、普通に友達!』
『嘘? 中学校から仲良しの子よね。てっきり付き合ってるのかと思ってたわ。すごくお似合いなのに』
確かに友人たちからはやし立てられてはいたけれど、自分はそんなつもりはなかった。けれど、その後も可乃子に根掘り葉掘り聞かれ、適当に聞き流して部屋から追い出してしまったのは、少なからずショックを受けていたからだろう。
『恥ずかしいから、まだ内緒にしててね。私たちのこと』
扉を閉める直前、頬を染めて微笑みながら言った姉から目を逸らして『はいはい』とあしらった。