身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
新郎新婦の席に祝いの言葉を告げに来るゲストは、みな当然のようにビールやワインなどアルコールの瓶を手に持っていた。琴音はあまり飲めないし、基本酌を受けるのは新郎の役目だろう。閑は披露宴の間、繰り返しお酒を注がれていた。
「酔っぱらった?」
「っていうほどでもないけど、ビール腹だな。しばらく何も入りそうにない」
閑は結構、酒に強い方らしい。少しも顔色には出ていなかった。琴音ならあんなに飲まされたら、既にもう立てなくなってしまっている。
客室に既に荷物は運びこまれているそうで、ふたりでそのままエレベーターを上がる。琴音は生まれて初めて、スイートルームに入った。
「う……わあぁ……」
思わず、感嘆の声が零れた。
広々としたリビングルームに、アンティーク調の豪奢なソファセット。テーブルの上にバラとピオニーの花が飾られていた。今日の琴音のドレスを飾った花と同じだ。
大きな窓の向こうには、夜に移り変わろうとしているオレンジ色の空が広がっている。