身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
「汗臭いからやだあ!」
「今更、汗の匂いなんてもう散々嗅いで……」
「そういうこと言わないで!」
恥ずかしがって逃げ出そうとする琴音を、閑は楽しそうに捕まえたまま「そうだ」と言った。何か思いついたようだが、琴音としては嫌な予感しかしない。
「お風呂は沸いてる。一緒に入ろう」
的中した。
やはり、結婚してから閑の人格がおかしくなってきている気がする。
「そんな恥ずかしいことできない……!」
「何もしない。一緒に入るだけだ、ほら」
それ以上の問答は無用とばかりに、腰を抱えられたまま琴音は閑に脱衣所に連行される。
ぎゃあぎゃあと喚く琴音をさっさと脱がせて、ぽいぽいっと脱いだ衣服はカゴに放り込まれ琴音は浴室に放り込まれた。
明るい場所で裸を見られるのは初めてだし、見るのも初めてだ。恥ずかしさのあまり浴室の真ん中で突っ立っていると、閑に頭から思い切りシャワーを浴びせかけられた。
「ぷあ! もう!」
「ほら、ちゃんと洗え」
シャンプーをしてボディソープをして、ふたりで泡塗れになってふざけていると、段々と琴音も諦めの境地に入る。ざあざあとシャワーを被りながらそれぞれ洗って、ふたりで浴槽に浸かった。