身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~

「おめでとうございます。三か月ですよ」
「えっ? 三か月」
「そうそう。最後の生理がこの日でしょう? ここから一ヵ月と数えるから、今三か月」

 女医が、卓上のカレンダーを琴音に見せ、丁寧に説明してくれた。

「多分、この辺で受精かな」

 受精、とか普段あまり会話で聞き慣れない単語を聞いたが、狼狽えるよりも先に、思いついたことをぽろりと女医に向かって零してしまった。

「ハネムーンベイビー、みたいです」
「あら、おめでとう」

 おめでとう。
 そう言われて、ありがとうございます、と笑って頭を下げる。けれど、渡されたエコー写真に写る小さな小さなわが子を見て、琴音は喜びと同時に気づいてしまった自分の感情に、呆然としていた。


 待合室で会計を待ちながら、エコー写真を眺める。躊躇いながら、片手をお腹に当てた。

 義母の優子はこれを聞いたら大喜びするだろう。あんなに待ち焦がれた様子だったのだから。
 閑もきっと喜ぶ。二宮の後継者をと言われての結婚だったのだから。彼は最初から、避妊したりしなかった。

 じゃあ、琴音は?

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