身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
「大丈夫ですか?」
「あ、はい! すみません、ぼんやりして」
「これ、妊娠中に気を付けることや食事のことが書いてあります。それから、次の検診の予約をして帰ってくださいね」
いくつかの冊子とプリントを受け取りながら、こくこくと頷いているともう一度ぽんと肩を叩かれる。
「初めての妊娠だし、不安なことも多いと思うけれど、あまり考えこまないで。マタニティ教室もあるし、カウンセリングや相談ルームもあるから、不安なときは連絡してね。ひとりでお母さんになるんじゃないんだからね。プレパパ教室もあるから良かったらご主人と一緒に検診に来たらいいわ」
そう言って励まされ、自分が殻に閉じこもるように考え込んでいたことに気が付いた。
「ありがとうございます。大丈夫です。……しゅ、主人とも相談してみます」
そうだ、母親になるのだ。ぐだぐだ考えるよりも、しなければいけないことはたくさんある。それに、ひとりじゃない。閑さんならきっと、妊娠中も育児もいくらでも関わってくれそうな気がする。琴音が締め出されるわけではないのだ。
夕方、やはり食欲はないけれど料理をするのは苦痛じゃなかった。体調不良がつわりなのだとわかれば、辛いと思っていたことも我慢できる。
食事の支度をあとは温めて皿に盛りつけるだけというところまで進めて、琴音はソファに座る。それから、閑に見せようとローテーブルの上に置いていたエコー写真を手に取った。