身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
「えっと……これ」
どきどきしながら、言葉にするより先に手の中のエコー写真を閑に差し出す。彼は受け取って数秒それを眺めたあと、目を見開いて固まった。
それきり反応が無くなってしまったから、もしかしたらそれが何か閑にはわからなかったのかと、琴音は思った。
「あのね、エコー写真なの」
「エコー」
「うん」
何のエコーかとそれも言わなければいけないだろうか。
「……赤ちゃんの」
そこまで言うと、目を見開かれたままの閑の目が、ようやくエコー写真から離れて琴音を見る。それから一度視線が下りて琴音の腹部を見て、また顔を見た。
「……赤ちゃん?」
ぽつりとひとこと零して、また固まってしまった閑に、琴音は段々と不安になってくる。閑は子供を望んでいるのだと思っていたけれど、違ったのだろうか。
「……あの、いけなかった?」
急に心細くなって、閑の目を見つめる。頼りない声になってしまって、そこでようやく閑の表情がはっとしたように動きを見せた。
「いや! 違う! そんなわけないだろう!」
まるで今、目を覚ましたような顔だ。そんな表情で、今度は勢いよく強い口調で言われて、琴音が驚いてしまった。