身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~

「姉妹なら、環境の変化がきっかけで疎遠だったのが急に仲良くなったりするかもしれませんよ。ところで」
「なんだ」
「十分です。仕事してください」
「待て、まだ何も解決してない」
「吐き出しただけもかなりすっきりされたでしょう。仕事してください」

 重ねて言われて、渋々渡されたタブレットを手に取る。新しい医療機器の開発に関するファイルに目を通しながら、考えた。
 秋に入って、これから夜も冷えるようになってくる。少し厚手のマタニティドレスを買ってやらなくては。

 そんな折だった。珍しく、ずいぶんと久しぶりに可乃子から閑に連絡が入ったのは。琴音と疎遠になったが、妊娠を聞いてお祝いを言いたいという。気を許してくれなくて、なかなか会ってくれないから仲を取り持ってくれないかと頼まれた。
 そもそも疎遠になった理由が何かと尋ねれば、とにかく一度会って話したいと言う。

 閑は仕方なく、スケジュールの調整をしようとカレンダーを頭の中に浮かべた。



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