身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
休日らしいゆっくりとした時間を過ごし、家に戻ってきたところに琴音の電話が鳴った。思わずびくりと肩が揺れたのは、一瞬可乃子からの電話じゃないかと思ったからだ。
琴音がずっとのらりくらりと躱していたので、可乃子もそれを察したのかかけてこなくなっていた。だが……もしかしてまた、と思うとバッグの中のスマートフォンを見るのが怖い。
「琴音? 電話か?」
玄関を上がってすぐのところで立ち尽くす琴音に、閑が不思議そうに声をかける。その言葉に、閑を玄関で立たせたまま通せんぼしている状態であることに気が付いた。
「あ、ごめん」
足をリビングの方へ進めながら、おそるおそるスマートフォンを手に取る。名前を見て、ほっとした。
バッグをソファに置いて、閑を振り返る。
「二宮のお義母さんだった」
そう言うと、閑は「またか」と渋い顔をしていた。
「俺が出る」
「いいよ、大丈夫だから」
閑に笑ってそう言うとスマートフォンを耳に当てる。
『もしもし、琴音ちゃん? お腹の具合はどう?』
「はい、順調です。閑さんも気遣ってくれるので……食欲がおさまらなくて今日は気晴らしにお散歩に一緒に行ってたんですよ」
『あら、良かった。面倒見の良い性格だとは思ってたけど、琴音ちゃんには本当、特別ね。もうちょっと母にも優しくしなさいと言っといて』
なんと言っていいのかわからず、琴音は笑い声だけで返す。