身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
まだ聞いていないと琴音が言うのに、早く聞いた方が準備もしやすいからととにかく早く知りたくて仕方がない様子だった。琴音が困っていると、琴音の手からスマートフォンを抜き取った閑がひとこと。
「生まれるまで聞かないからしばらくかけてくるな」
そのまま問答無用で切ってしまったのが、二週間ほど前だっただろうか。それでもこうしてかけてくるのだから、優子には琴音も苦笑いだ。
「閑さんが生まれた瞬間の楽しみにしたいというので、私もそれがいいかなって」
『そ、そう。それじゃ仕方ないわね』
声でも明らかに意気消沈した優子に、琴音は励ますように言葉をかけた。
「また、一緒にお茶してください。身体に良さそうな、野菜を使ったケーキのお店見つけたんです」
すると、優子は少しだけ気を取り直したらしい。明るい声になり、電話を切った。
スマートフォンを置いて、ふうと息を吐きソファに腰を下ろす。優子の期待が重いのは間違いないが、こうして優しく接せられるのも、琴音の代わりに閑が言ってくれるからだろう。
まだ少し膨らんだ程度の腹を、そっと両手で撫でた。