身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~

 姉が自分の夫と会うなんて。黙って連絡を取り合うなんて。考えただけで、目の前が暗くなるほどに腹の底から込み上げてくる嫌な感情がある。それは、ふたりが過去に付き合っていたから余計にそうなのかもしれないけれど。

 自分は間違ってない、普通の感覚のはず。そう自分に言い聞かせながら、お腹の前でぎゅっと手を握り合わせる。
 可乃子は、目を見開いて琴音を見ていた。

「……私からはもう二度と閑に連絡するなっていうこと?」

 強い語尾に、琴音は一瞬、怯んでしまいそうになる。

「そう、じゃないけど」
「そういう意味でしょ? 確かに琴音と閑は結婚したけど私だって閑の幼馴染だわ。それなのにこれからずっと、私のことは締め出そうっていうの?」

 可乃子の声が徐々に感情的になる。違う、そういう意味じゃない、と言いかけて実際自分が可乃子に言ったことはそういう意味合いになるのだと気づくと、反論の仕方がわからない。

 嫌だ。嫌なのだ、可乃子に関わって欲しくない。可乃子が「閑」と彼を呼び捨てるのも本当はすごく嫌だ。
 どこまでが、自分のわがままなのか。頭に血が上って、考えるほどにわからなくなる。

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