身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
「感じの悪い態度を取ったのは悪かったわ。私だって閑と久しぶりに話したかったのに、琴音に嫌がられて私も腹が立ってたの。それを謝ろうとしたのに琴音が少しも聞いてくれないからでしょう? だから閑に、間を取り持ってもらおうと思っただけだわ。それなのに……」
はあ、と可乃子がため息を吐く。その音に、びくっと琴音の肩が震えた。
「琴音って、いっつもそう。子供の頃から、閑がからむとムキになって泣いて縋れば閑が助けてくれると思ってる。自分の思う通りになると思って」
「そんなこと……」
「あるわよ。今だってそうでしょ。閑は自分のものだって主張したいの? 彼は所有物でもないのに。閑にだって、付き合いがあるだろうし……その調子で、彼の交友関係を縛ったりしてるんじゃないでしょうね?」
可乃子が腕を組み、ゆったりとソファに背中を預けた。そんな様子が、琴音に呆れているように見えて、かっと頭に血が上る。しくしくと痛み胃が収縮するような感覚が強くなった。
言い返さなきゃ。何か言い返さなければと思っても、上手く言葉が出て来ない。
「子供の頃から、私が持ってるものならなんでも欲しがったわよね。自分のものにならないからって癇癪起こして、いつもそれでお父さんお母さんにも怒られてたじゃない」
「……だってお姉ちゃんはなんでも持ってるじゃない!」
やっと絞り出した声は、それこそ子供の癇癪だと思われてもしかたない、上擦った声だった。