身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
可乃子が帰り、身体の力が抜けると琴音は急に腹部に痛みを感じた。激痛ではないのだが、少し動きすぎた時になるような張りではない。それよりもずっと強い。
痛みに顔を歪める琴音に、閑が血の気が引いた顔で病院に電話をしてくれた。出血があるわけでもなく、我慢できないほどの痛みでないなら自宅で様子を見ていていいということで、閑にすぐさまベッドに寝かされた。
前回の検診でもらっていた張り止めの漢方薬を飲み、枕を背に当てベッドの上で座っている。閑が大学の時、可乃子にあったことを話してくれた。
「あの性格だからな。自分がいいと思ったことは周りの人間も同じだと思って、押しが強くなることがある。それで周囲に敵を作ることも多かった。もう少し柔軟にやれと怒ったことがあったんだ」
「そうなんだ……」
「それが気に食わなかったんだろうな。その後あまり話さないうちに、大学を卒業した」
「……ひとつだけ聞いていい?」
「ん?」
「閑さん、お姉ちゃんの気持ちに少しも気づかなかった?」
琴音が尋ねると、閑の目尻がほんの少しだけぴくりと痙攣した。
「やっぱり、知ってた?」
染谷の実家で可乃子と一緒に歩いてきた閑を見た時、琴音は閑の表情に違和感があったのを思い出した。
少し気まずそうな、そんな表情をしていたのだ。