身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
「愛してるよ」
初めて聞く閑の感情が言葉になって、琴音の耳に届く。驚いて目を見開いた琴音を、閑は両頬を手で包んで上向かせた。
「閑ちゃん?」
「何をおいても、琴音が大切だ。他に何もいらない。これが愛してるとは言わないなら、俺はきっと一生、知らないままだ。これ以上の感情は見つからない」
閑の目に少しの偽りも見つからず、ただ温かな感情だけが伝わってくる。その目を見つめ返しながら、琴音はまた新たな涙をあふれさせた。今度は、拭わずに閑はただ琴音を見つめている。
込み上げてくる感情に喉を詰まらせ、琴音は喘ぐ。くしゃりと顔を歪ませて、声を絞りだした。
「わ、私も、好き」
「ああ」
「ずっと、好きだった」
「ほんとに?」
「すきだったの、ずっとっ……」
閑の手に上向かされたまま、拙い言葉で言い募る。
いつからかはわからない。だけど多分、失恋したと思ったあの日からもきっと忘れることなんてできていなくて、心の奥に閉じ込めたままだったのだ。
そして今は。
「私も愛してる」
涙声の愛の言葉を飲み込むように、閑は長い長い口づけを落とした。