身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
つまり、二宮よりも染谷がこの縁談を必要としているのだ。二宮家からすれば、染谷を切り捨てても他で賄える話なのだ、無理に結婚などしなくても。
『いいか、閑くんが優しいからって甘えないで、二宮家の嫁としてちゃんと尽くせ。わかったな』
「う、うん……わかった」
『回避できないこともない、と彼がそう言ったとしても、だ。それはその分、彼に負担がかかることなんだと思いなさい』
父親の言葉で理解する。閑や二宮の両親がそのつもりがなくても、親戚やグループ会社などが黙っていないこともある。染谷よりもいい条件で契約する工場があれば、経営に影響力のある誰かがそちらを薦てくめることだってあるのだ。
正月に帰った時、母と違って父はこの件に関して言葉少なだった。きっと負い目があったのだろう。
「わかった……大丈夫。任せて」
閑を信じないわけではないし、結婚に前向きになっていたことは変わらない。けれど、わずかに湧きかけていた甘い感情はどこかへ吹き飛んでしまった。