身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~


 スルーはしていないはず……ええっと、試着の日程のことだった、確か。

 マンションのエントランスに辿り着く。エレベーターに乗って五階まで上がる途中、トートバッグの中に手を入れて、スマートフォンを取り出した。
 この三か月のうち、最初の一ヵ月は閑が海外出張などが重なり忙しかった。けれどその後の二か月は、何くれとなく琴音に連絡を入れてくれていたのだ。
 式のこと以外でも。確認するのが遅くなったりして、返事は半日経ってからだったりしたけれど琴音も仕事の合間を見てメッセージを送っていたが。

 メッセージ画面を確認しながら、エレベーターを出る。
 日曜日なら、絶対に休日にしてみせると閑に返信したのだ。自分が送ったメッセージを見て思い出した。

「良かった! ちゃんと返事してた!」

 しかし、それから閑からの連絡がない。
 もう一度、連絡をいれた方がいいのか考えながら、スマートフォンの画面ばかり見て歩いていて、前を殆ど見ていなくて、

「何が良かった?」

 聞き覚えのある、低い声を聞いてぴたりと足を止めた。


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