身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
海外出張に出ているとき以外は、こまめに連絡をくれていたのに、リアルタイムではほとんど返事できなかった。食事の誘いも何度かしてくれていたのに、まだ一度も実現していない。日曜夜なら、と思ったけれど、普段の私の忙しさを気遣ってか、彼の方が遠慮した。
しかし、その状況で三か月……さすがに堪忍袋の緒が切れた、ということか。
……謝らなければ。
そして改めて、できるだけ早く退職できるように頑張るからと伝えなければ。
湯上り素顔で出て行くのは恥ずかしいが、それを気にする余裕はない。
何しろ、あの優しい閑ちゃんが、あんな厳しい声を出したのだ。どれだけ気分を害しているのか、それだけでヒシヒシと伝わってくるような気がする。
びくびくしながら浴室を出た。部屋着の上にカーディガンを羽織り、リビングの手前で一度髪を撫でつける。すっぴんでみっともないが、せめて少しでもマシに見えるように。
一歩リビングに入ると、なぜかほわんと出汁の優しい香りがした。