身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
 ソファの前のローテーブルには、ほかほかの雑炊がお茶碗によそわれて置かれている。ごくりと喉を鳴らす。出汁で煮込まれたやわらかそうなご飯の上を、流しいれられた溶き卵が薄く覆っている。とろふわで美味しそうで、ごくりと琴音は喉を鳴らした。中央には三つ葉が添えられ、出汁に混じってそれもまた良い香りがした。

「こんな時間だし、消化に良い方がいいと思って」
「これ、閑さんが作ったの?」
「他に誰かいる?」

 そう答えた閑は、やはり少し怖い。琴音は緊張しながら雑炊の置かれた場所に座り、閑を見上げる。すると彼も、テーブル角を挟んで斜め前に座った。

「ありがとう。美味しそう……材料とか持ってきてたの?」
「普段、琴音の話聞いててろくなもの食べてなさそうだったから、今夜も遅いようだったら念のため、と思って」

 彼の手には、コーヒーのカップがある。それをひとくち啜ってから、呆れたようなため息を吐く。

「そしたら案の定。夕方にカップラーメンって」
「いや、毎日じゃないよ? たまにはお弁当とかも買うし……」
「言い訳はいいから早く食べる」
「はいっ、いただきます」

 冷たい声で言われて思わず背筋が伸び、置かれた箸に手を伸ばした。

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