身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~


「酷い顔色だった。今は、少し血色が戻ってマシになったが」

 閑の言葉に、ぽかんとして彼を見つめた。今も、再会したときのような柔らかな表情はそこにはない。不機嫌そうに眉根を寄せている。怒っていることに違いはないけれど。

 ――もしかして、私の身体が心配だから、怒ってくれてる?

 彼自身も忙しい身だというのに、それ以上の連絡不精を見せている琴音に怒っている、というわけではなさそうだ。

「あ、あの。心配してくれてありがとう。でもいつもこのペースだから慣れてて」
「慣れるな。そんなことに」

 間髪入れずに突っ込まれて、琴音は余計なことは言わずにおいた。
 今の状況よりもっとひどい場合もあるなんて言ったら、それこそ明日から仕事に行くなと言われそうだ。

「もういいから、今日はそれ食べて寝ろ」

 とん、と額を指で押されて、一瞬だけ目を閉じる。次に瞼を開いた時には、閑の表情はようやく少し、柔らかくなった。

「ね、寝ないよ。せっかく会えたんだから」
「会えたんだから? 何をするの?」
「えっと……」

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