身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
 この間も見たことのある、含みのある表情だ。

 ――何を、って。だから、結婚するんだから。

「えっと、話をしないと。結婚のこととか……」

 言いながら、なぜかじわっと顔が熱くなり汗が滲み出てくる。微笑みながら見つめられているだけなのに、どうしてこんなに恥ずかしくなるのか。意味がわからない。

「だって、まだほとんど話せてないし。……私のせいなんだけど」
「俺ばっかり、その気なのかと思った」

 そう言った瞬間は、優しさよりも意地の悪い印象が勝っていた。

「そんなことはないです。私もちゃんとその気です」
「とてもそうは思えなかったけどな。……まあ、でも、こちらも謝らなければいけないこともある」

 何を? と首を傾げる。

「二宮家所縁の神社で神前式、と琴音の希望を聞くこともなく決まってしまっているから。すまない、花嫁が主役なのにな。夢だってあるだろうに」

 本当に申し訳なさそうに琴音の表情を窺うから、慌てて首を振った。

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