身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~

 五分ほど話していただろうか。スマートフォンの時計表示を確認して、少し温くなったカップの残りを飲み干す。オフィスに戻ると、待ち受けていたように上司の福住が琴音をミーティング室に呼び出した。

「えっ、今月中?」
「おう。悪かったな、振り回して。人事とも話して三月末で退職してもらって大丈夫だ」

 ずっと退職時期に関して待ったをかけられていたのが、何やら急に進展したらしい。

「代わりの人材も来週入ることになった。末まで二週間あるが、今のプロジェクトももう今週中で納められるだろうしな。後は引継ぎとサポートをしてくれたらいい」
「え……人、入るんですか⁉」
「おう、ふたりな」
「ふたり⁉」

 これに一番驚いた琴音は、思わず大きな声を出してしまう。何せ、これまでどれだけ人手が足りないと訴えても増やしてもらえなかったのだ。さすがにこれ以上人が減るのはまずいと判断されたのだろうか?
 いや、それにしたって、それなら一名の増員程度だろう。

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