身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
『それは良かった。じゃあ、昼前に迎えに行くよ』
さらりと用意されていたように、閑は驚くこともなく告げる。何かが、琴音の頭にひっかかる。
再会してから三か月の間で、これまでの琴音の現状をよくわかっているはずなのに、こんなにあっさりと退職日が決まったことにも全く驚く様子がない。
「あの……閑さん?」
『ん? 午前中はもう少しゆっくり寝たいなら時間をずらそうか』
「いえ、そうではなくて。こんな急になってしまって、その、試着させてくれるお店? の方は大丈夫なの? 急すぎて迷惑なら、もう少し伸ばしても」
『問題ない。ちゃんと押さえてあるから』
その発言で、確信した。
「……閑さん、何かした?」
『何かって?』
「だから、うちの会社に……」
そう言葉にすると、即座に返事はなかった。それで確信した。急な人員補充も外部の社会保険労務士も、きっと閑の手配に違いない。