身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
背の高さを自覚しているので、可愛らしいデザインは諦めている。
「大人っぽい雰囲気なのはいいかなって思いますけど露出は少ない方がいいです」
しかし、と並ぶドレスを見て、思った。背中は開いていなくても、オフショルダーのデザインが多い。
肩の露出は免れそうにないが、披露宴のドレスなのだから地味すぎてもいけない。このくらいは、勇気を出して着てみるべきだろうか。
悩んでいると、「そうだな」と隣で閑が言った。
「肌はあまり見せて欲しくないな」
ぼそりと呟かれた言葉に、思わず目を見開いて隣を見る。小さな声だったため、誰に聞かせるつもりもない何気ない呟きだったのかもしれない。
しかし、彼が手に取って見るのはハイネックやスクエアネックで、その横顔をぽかんと見てしまう。すると、彼の瞳が動いて横目に琴音と視線が合った。
「どうした?」
「あ。なんでもない」
慌てて視線を外し、再びドレスに目を向ける。
意識しすぎちゃだめだ。ただ単に、花嫁には貞淑なイメージでいて欲しいとかそれくらいの意味なんだから。
そう思いながらも、じわじわと羞恥心が湧いて出る。
肌を見せてほしくない、なんて。まるで、独占欲のようで。