身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
「もう少し低いのはないですか?」
「ヒール、苦手ですか? 高い方が綺麗に見えますよ」
「いつもはベタ靴なので……背が高くなりすぎてしまって」
そう言うと、「あら」と彼女は目を見開いた。それからすぐに、くすくすと笑う。
「私みたいに低いものから見ると、とても羨ましいですけれど。なんでも着こなせそうですし」
「いえいえ、小柄で華奢でって女子の憧れじゃないですか」
「ふふ、無いものねだりですね。ちょっとお待ちください」
彼女は一度背を向けると、少しだけ低いヒールの靴を持ってくる。といっても、本当に少しだけだ。
「ベタ靴はありませんので……でも、新郎様も背が高くていらっしゃるので、ご心配はなさらなくても大丈夫ですよ」
慣れないヒールを履いて、いつもより視点が高くなる。その時、カーテンの向こうから声をかけられた。
「琴音? どうだ?」
電話を終えて戻ってきていたようだ。
店長が、後ろで結わえただけの琴音の髪を簡単にクリップでまとめ、即席で花のかんざしを挿してくれた。
緊張してつい身体が固くなる琴音の前で、カーテンが開かれる。