身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
レストランを出て、車に乗ると閑はすぐに走らせた。すぐにつけてもらえるかと思った琴音は、もう一度は自分から言い出しにくくて黙り込んだ。そわそわと落ち着きない時間を過ごして、琴音のマンションの前に車が停まる。
「貸して」
「え?」
帰ってきてしまった……と気落ちしていた時にそう言われて、一瞬何のことかわからずぽかんと運転席を見る。すると、膝の上に大事に持っていた指輪の箱を、閑が手を伸ばして取り上げた。
閑の大きな手の中では、指輪がとても小さく見える。長く綺麗な指で指輪を挟むと、閑は琴音に向かい手を差し伸べた。
覚えていてくれたんだ。
照れくささと喜びと、緊張が入り混じる。どきどきしながら左手を差し出し、閑の手の上に乗せた。とても丁寧に、優しい力で引き寄せられると、薬指の先に指輪が触れる。
ゆっくりと指輪が通っていく、その途中で、何か喋らなければ居たたまれなかった。
「……忘れちゃったのかと思った」
「……あんまり可愛いことを言われたから、帰したくなくなりそうで」
その言葉に息を飲んで、指輪から閑の顔に視線を移した。指輪が薬指の付け根までたどり着いたのを感触で知る。
閑も視線を上げて、琴音を見つめた。