身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~

「何言ってるの。褒めて伸ばすのは子供の時だけよ」
「子供の時だって褒めてくれたことなかったくせに」

 拗ねて唇を尖らせて、ふと閑に言われたことを思い出す。親の気を引こうと、子供の頃は拗ねてよく泣いていた。今は泣きはしないけど、そういうところは確かに変わっていないのかもしれない。

 懐かしいと笑っていた閑の顔を思い出し、急に会いたくなった。無意識にキッチンカウンターのスマートフォンに目が言って、ちかちかと小さなライトが点滅していることに気が付いた。
 ぱっとそれをに手を伸ばして、見れば着信履歴が残っていて。

「お母さん、盛り付けお願い!」
「こら、ちゃんと最後まで」
「閑さんから電話!」

 そう言うと、「まったくもう」とブツブツ言いながらも、琴音を止めたりはしなかった。スマートフォンを手に二階に駆け上がり自分の部屋に戻る。
 見ると、三十分も前の着信になっていた。マナーモードになっていて気づかなかったらしい。
 かけ直してみれば、すぐに繋がった。

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