【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「誰だ?いい加減に出てきなさい!」
バタンとロッカーを開けて閉めている田島先生に見つかる前に。
めちゃくちゃな頭であたしは煩悩に侵されたS極を閃いた。
そうっと窓から両手を離して、
「……っ」
ぎゅうっと灰野くんにしがみつく。
いい匂い……っ。
胸板が堅い。
細いのに大きい体。
……男子。めっちゃくちゃ男子。
「あ、藍田さん……?」
あたふたする灰野くんに寄りかかって、重心を窓に寄せる。
「押さないでって……!」
がた、と窓に灰野くんの背中があたった。
灰野くんはもうあたしにしがみつくしかなくなったはず。
ぎゅって、して……ほしい。