【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「なんで?」
「あのマスコット、まず藍田さんが部屋で拾ったからなぁ」
「……」
藍田さんに見つからないように必死で探してたのに。
「……早く言えよ」
「藍田さんの目から見たら、お前未練たらたらだよ」
「あ、そう……別にいいよ」
「あからさまにテンション下げんなよ」
ぶはっと吹き出すこいつの楽しそうな姿には全然救われない。
藍田さんのことなんて好きじゃない、
……っていうのはさすがに無理があるかもしれないけど、付き合いたいなんて微塵も思っていないから。
「俺藍田さんに聞かれたよ?藤堂さんのことまだ好きなのかな?って」
あ、それ俺も聞かれたな。聞き流したけど。
「山本なんて答えたの?」
「聞いとくねーって。だって実際俺知らないし、そこんとこ」
「ふぅん……」
「なんて答えればいい?」
「わかんないって言っておいて」
「わかんないって言ってたって?!それほぼ……まだ好きじゃん」
なんでもいいよ。
藍田さんに俺の気持ちがバレなきゃそれでいい。
だって藍田さん、あれはもう俺のこと好きでしょ。
暗がりでぎゅっとしがみついてきた無防備さを思い出すと、動悸がする……。
腕の中にすっぽり収まる小さくて柔らかい体とか。
甘い匂いとか。
何より火照った顔で俺を見上げたあの表情。
思い出すだけで心臓がバクバクする。
でも、期待しないで。
俺は絶対に藍田さんとは付き合わない。
だって、藍田さんは……、