【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
こう、相手の二の腕らへんのシャツをふわっと掴んで、見上げて。
太陽に透けた黒髪がきらきらと輝く。ナギちゃんの目はあたしを不思議そうに見ている。
そうそう。
僕壊のヒーローもそういう顔してた!
きょとんとした顔をヒロインが熱っぽく見つめて。
「”ほんとは……ずっと好きでした”」って。
これを例えば、灰野くんに。
「あぁぁぁ……。絶対あたしには無理」
ぱっとナギちゃんから離れる。
「こんなふうにできるのは、漫画だからなんだよね」
計算高い不自然な告白になりそう。
「……い、や。結構いい線いってたと思うよ」
ナギちゃんのなめらかじゃない声にふと顔を上げた。