【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
廊下から少し話し声がしたと思えば、灰野くんが教室に入ってきた。


ドキンと鳴る胸が傷つきましたと言わんばかりに痛い。



「あれ?藍田さん早いね。てか、そこ俺の席だけど……」



灰野くんの席のすぐ傍に立っていることを指摘されて思い出した。


だけど動けない。


藤堂さんとの恋の踏み台。

あたしは、そういう存在になってたの?灰野くん……。


楽しそうだったもん。藤堂さんと一緒に過ごす灰野くんは。

あたしに見せてくれたことのなかった笑顔で、彼女の隣に立ってた。


比べたなら何回実感したの?


藤堂さんとの恋愛が、全部あたしよりうまくいっているってことを。

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