【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。


「藍田さん、何か用事?」


その視線はあたしなんかみていないし、


「どうしたの」


その声だって、他のクラスメイトに喋るときより他人っぽくて。


「なんでもないよ」


と泣きたくなる気持ちをぐっと押し殺して、教室を出ようとドアに触れかけた時。


自動ドアみたいに開いた目の前には、ナギちゃんが居た。


嫉妬であふれかえったこの気持ちをいつも彼にぶつけてた。



「ナギちゃん……」


タイミングよく見えた姿に、気が緩む。
涙腺だって緩んだ。


「どうした胡桃?なんで泣きそうなんだよ?」


「泣いてない、あくびしただけ」


「ん?あ、灰野……そういうこと?どっかで話聞こうか?」


ナギちゃんの小さな声にほんの小さく頷いたあたしを、

多分、灰野くんは見ていた。

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