【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
―――藍田さんから逃げたい。



そう言われたあたしは、灰野くんをそんなにしつこく追いかけてしまったのかな。


嫌いって言っているのがわかっているのに、近づいてしまったのが悪かったの?


そんなに迷惑だったんだ。


―――ナギと付き合えば。


そんなにわかりやすく邪魔もの扱いされるなんて。





遠くから聞こえる騒がしい朝の教室の声。


涙をこぼしながらしゃがみ込む。階段にあたしの嗚咽が反響している。


チャイムの音だ。


灰野くんのいる教室になんか入りたくない。


この感情は、多分中1の終わりの無視されたころと一緒。



大好きの後ろに大っ嫌いがある感覚に、涙が溢れる。



また他人になるんだなぁってなんとなく思う。



”絶対にくっつかない”
”同じ十数年間を繰り返すよ”


リホちゃんの言う通りだ。


―――藍田さんとはうまくやれない。


灰野くんは、あたしのことがこんなに嫌いなんだから。

< 183 / 400 >

この作品をシェア

pagetop