【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「藍田さん、リュックに潰されてる」


灰野くんの両手があたしの背中に伸びた。


守るように包まれたこれって……。



それはもう、抱きしめられている。そう言っていいと思う。



今。あたしは、灰野くんに抱きしめられてる……!


ドクドクドクドクドクドク。

心臓が、もたない。


「……っはぁ、苦しい」

「えっ、ごめん」

「違くって……どきどきして……」


灰野くんの胸に埋もれた声は、多分灰野くんに届いた。


「……俺も」


たった三文字と、真っ赤で困り顔の灰野くん。くらっとした。

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