【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「つかれたぁ……」
「まだ1時間だけどね」
「一時間であたしができるようになったの、たった3問」
「俺の教え方ってわかりにくい?」
「そんなことない!」
あたしがあんまりに馬鹿だから、灰野くん「うーん」て天井眺めちゃってる。
「灰野くんは高校入ってからずっと成績いいよね」
中学の時も普通に頭よかったけど、ずば抜けて賢いイメージでは全然なかったのに。
「毎日勉強してるの?」
「まさか」
「授業中だってしょっちゅう寝てるのに」
「なんで知ってんの」
「えへ、へ」
あ、これごまかしきれない。
灰野くん多分呆れてる……。
「灰野くんはなんか勉強のコツとかあるの?」
「コツはないけど、わかんなかったら教えてもらいにいってる」
「教え……」
誰に?って聞こうと思った。
だけど聞かなくてもわかっちゃった。
そうだ、灰野くんの元カノは……藤堂さんは揺るがない学年トップなんだから……。
「……そ。そっか」
灰野くんの成績まで上げちゃう彼女。
……あたしにはできない。
思わず手元に力が入ってシャーペンの芯がポキンと折れた。