【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
『おっせーよ』
「ごめん、灰野くんの家に行ってて」
『え……あぁそうなんだ』
「ねぇ、ナギちゃん……」
『んー?またなんかあった?しかも悪い方で』
「なんでもよくわかるね」
『まぁなー』
「あのね、さっきね……」
「……藍田さん」
低い声に振り返った。
だってすごく怒ってる声色に聞こえたから。
「灰野くん……」
「電話、切ってくれる?」
ドクンと心臓が大きく鳴った。
「ごめんナギちゃん、またあとでかける」
『あーうん』
震える手でスマホをポケットに押し込んだ。
灰野くんは見慣れた視線をあたしに送ってる。
ついこの間まで頻繁に見た ” きらい ”と言っているような冷えきったまなざし。