【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
高校生になってから明るく染められた髪は、彼ののんびりした動きに合わせて柔らかに揺れている。


光を透すと金色っぽくて、すごくきれいだし灰野くんによく似合う。



加えて、端正な顔立ちは、心底羨ましい。
長めの前髪から覗く黒目がちの大きな目。通った鼻筋に、形の綺麗なピンク色の唇。


ソプラノだったはずの声はいつのまにか低くなって、背だってグンと伸びた。


灰野くんは360度どこからみても完璧で……。


たとえば灰野くんが廊下を歩けば、すれ違う女子の多くは、ふと振り返っちゃう。


あたしは14年かけても、灰野くんの欠点がいまだにわからない。



……あっ!


そうやって見つめすぎていたあたしの目に、灰野くんの視線が絡んだ。


ばちんっと音でもしそうな目の合い方に、あたしはバカみたいな過剰反応で目をそらす。


ぐりんっと、勢いよく回し過ぎた首が痛い。



……最近、よく目が合うのは、あたしが灰野くんのことばかり見すぎているせい。


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