【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
つーかさ、


「イケメンの友達なんていたっけ?」


全然わかんないんだけど。


「ぱっと思いつくのはナギと灰野だなぁ」

「佐藤どうした?今日やたら俺のこと褒めんね」


ナギと並べられたのは心底むかつけど。

もうナギの病室で合コンしてろよ。


「女子がいうイケメンって微妙に分かりづらいよなぁ。灰野さ、藍田に聞いてきてよ。他のクラスでイケメンに思い当たるひとがいるかどうか」


「あー無理無理。伊吹いま藍田さんと喧嘩中で。なのに自分から喋りかけられない女々しいチキンだから。ねー伊吹ちゃん」


……どちゃくそうぜえ。絶好調かよ、山本。


「……聞いてくればいいんだろ」

「おっいけんの?見守ってるわ」

「いらねーよ。時間ないんだからそっちはそっちで探しにいけ!」


教室に入ると、藍田さんは憂鬱な顔つきで問題集に目を落としていた。

「……あの」

「え」

すっと上を見上げる藍田さんは俺を確認するなりシャキンと背筋を伸ばした。
そんな緊張しなくても。


「あのさ、この学年に女子から見て顔だけでもかっこいいってひといない?他のクラスとかで……」


「……灰野くん」


「なに?」


「いや、だから。かっこいい人は、灰野くん……」


ゆっくりと人差し指が俺に向いて。

反対に視線はだんだんそれていく。

赤く燃えていくみたいな頬とか、そういうのが、ずるいんだって……藍田さんは。


「あ……ありがと……」


なんかもう、熱い。耳まで熱いかも。

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