【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。

「あたし、他のクラスとかはわからないや」

「そっか。わかった」

ありがと、と廊下に行こうとしたとき。


「待って、ねぇ合コンに行くって……本当?」

「え?」

「また、あたしたたち別れちゃったの……?」


濡れたまつげにきづいてぎょっとした。
また俺泣かせたの?


「別れてないだろ」

「じゃあ、合コンって何?」

「行かないって俺は」

「でもさっき聞いちゃったもん」


「俺はちゃんと断ったよ。藍田さんがいるから」


「そ……そうなんだ……。よかった」


しぃんと静けさが広がっていく。


「……ごめんなさい」

藍田さんの声がぽつりと消えた。


なんで謝んの?昨日のこと?


そういう聞き方が責めてるみたいに聞こえるのかな。

ナギなら、なんていうんだろう。

……わかんねーよ。俺はナギじゃないから。


だから、

「藍田さんの気持ち聞かせて」


そうできるだけ優しく言ったのに。


「……」


藍田さんは声を詰まらせる。

< 308 / 400 >

この作品をシェア

pagetop