【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
映画は感動的フィナーレだった。
藍田さんは濡れた睫毛で笑いながら、「もう一回観たくなっちゃった」って、大好評だな、僕壊。
こんなの二回も見るのかよ。
「じゃあまた今度一緒に来る?」
俺が聞くと、「いや……そんなのは申し訳ないし、リホちゃんたちと……」って。
なんで遠慮するかなぁ……。
でもリホたちとも行きたいのかもしれないし。
いつもお互いに気遣ってばっかりだよね。俺たちは。
「どのシーンが一番よかった?」
話を変えた俺に、藍田さんは「ええと」と考え込んでふるふるっと首を横に振って俯いて。
なに、その可愛い一人芝居?
どうせベッドシーンだろ。一番甘い言葉を言っていたと思うから。
「最後のキスシーン……」
「あ、そっちなんだ」
意外とノーマル。
「灰野くんが映画館でしてくれたキスと同じだったよね……ドキドキしたぁ……っ」
「あ……そ」
そういうこと、言わなくていいから。
途端に頬が熱くなっていって。
帰り道の俺は、手のひとつも繋げずにギチギチとした空気を作り出す、ただのヘタレに成り下がっていた。
藍田さんは濡れた睫毛で笑いながら、「もう一回観たくなっちゃった」って、大好評だな、僕壊。
こんなの二回も見るのかよ。
「じゃあまた今度一緒に来る?」
俺が聞くと、「いや……そんなのは申し訳ないし、リホちゃんたちと……」って。
なんで遠慮するかなぁ……。
でもリホたちとも行きたいのかもしれないし。
いつもお互いに気遣ってばっかりだよね。俺たちは。
「どのシーンが一番よかった?」
話を変えた俺に、藍田さんは「ええと」と考え込んでふるふるっと首を横に振って俯いて。
なに、その可愛い一人芝居?
どうせベッドシーンだろ。一番甘い言葉を言っていたと思うから。
「最後のキスシーン……」
「あ、そっちなんだ」
意外とノーマル。
「灰野くんが映画館でしてくれたキスと同じだったよね……ドキドキしたぁ……っ」
「あ……そ」
そういうこと、言わなくていいから。
途端に頬が熱くなっていって。
帰り道の俺は、手のひとつも繋げずにギチギチとした空気を作り出す、ただのヘタレに成り下がっていた。