【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。

「……、え?」



「だから、うちに来ない……?その、灰野くんの家だとまた愁ちゃんに藤堂さんのこと思い出させて泣かせちゃうかもしれないし……」



自分で言っててへこんできた……。


「あーそういうこと……。うん、わかった。藍田さんの家に行くね」


「ありがと……」

「……ん」


しぃーん……と静けさが広がっていく。


何か、何か会話落ちてないかなぁ。

そわそわしているうちに、家に着いた。


「ここ、あたしの部屋です……」

「知ってる。……あんまりあの頃と変わんないね」

「散らかってるから、あんまり見ないで」


棚の上とか乱雑に本が積まれたままだった……。

灰野くんの部屋はあんなに綺麗だったのに!


掃除してから呼べばよかった……。


あたしは、スカートのポケットにあるリホちゃんからもらったものをぎゅっと握りしめた。


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