【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
唇をぎゅっとかみしめた時。


お腹に触れていた灰野くんの手が突然、ぴたっと止まった。


時計の秒針がやけに耳につく。


「……え?灰野くん?」


なんで、やめちゃうの?


「あ……ううん」

「どうしたの……?」


灰野くんはあたしを見下ろしたまま、何も言わない。


「……ごめん」




灰野くんはあたしの体にそっとタオルケットをかけてから、あたしから離れてベットに座った。



「……やっぱまだ早いかなって」


「あ……」


これって。

もしかして……拒否……?


ブラウスのボタンを全部閉めながら、涙を堪えるのに必死だった。



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