【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
家に帰って電話したけど、藍田さんは見事に全部未読スルー。

「最悪……」


でも今繋がってもよくないか。

俺、謝ることなんかすっとばしそうだもん。

藍田さん、何考えてんの……?

……ほんとムカつく。


翌日の朝。


「おいおい朝から伊吹殺気立ちすぎだろ。今度は何があった?」

「……別に」


「胡桃スマホあったー!?」

彗の声に藍田さんが「あったー!」と返す。

昨日藍田さん、学校にスマホ忘れたのか。


しばらくスマホをみてから俺の方に顔を向けた藍田さんから、反射的に顔を背けた。


あ、何避けようとしてんだろ。

後悔しはじめて顔をあげると、藍田さんはナギと話していて。


「ナギちゃんこれ電話しすぎだよ!」

「ずっと未読だから心配したんだって」

「それはどうも……。でも充電4%なのは絶対そのせい」

「充電器持ってるよ。ひとのだけど。ほら」

鞄から出したピンク色の充電器。

「……また女子の影……」

藍田さんは眉間に皺をよせて

「いらない」

そう答えた。


ナギに女の影があったっていいじゃん。

なんで藍田さんがそんな顔をナギに見せんの。


「嫉妬かよ?」

ナギは楽しそうに笑っていて


「違うよ……!あたしは健全なナギちゃんに戻ってほしいの」

藍田さんは悲しそうにそう呟く。


それをナギが嬉しそうに見ていることに気付かない?

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