【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「寝てる?」
「お、起きてます……」
シャ……とゆっくり開いたカーテンから見えたのは、灰野くん。
「……来ちゃってごめん。具合大丈夫?」
「うん……」
「授業が自習だったから、全部リホたちに聞いて……ナギに言ったのリホだって言われた。勝手に勘違いしてほんとにごめん」
「あ……うん」
わかってもらえたの……?
「俺の勘違いで、妬いて……八つ当たりしてごめん。ほんとにごめん」
そんなに謝らなくても、って、こっちが焦っちゃうくらい、灰野くんが頭を下げていて……。
「謝らないで。誤解がとけてよかった……」
本当によかったのに。
引っかかるのは、きっと。
「あたしの口から言えばよかったのに、言えなくてごめん」
「……そういう空気にするのは、いつも俺だろ」
ううん、灰野くんのせいじゃない……。
でも、言ってる間にまたギスギスしてしまいそうで……身構えたら。
ふわっとあたしの額に灰野くんのひんやりした手のひらが乗って、どきっとした。
「熱はないんだね」
「う、うん」
額に残った感触だけで、ここまでドキドキできるあたしの心臓ってすごい。