【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
心臓が信じられないくらいバクバク言ってる。


は……はじめて聞いた。

大好きって言葉に胸がきゅうっとする。


「俺ね藍田さんといるといつも緊張ばっかで……間が持たないと焦って余計うまくいかなくて」

「あたしも……!」

「ほんと?」


すぐ傍で寝ころんだ灰野くんの手があたしの手をぎゅっと繋いだ。


「ダサすぎるけど俺、これだけでここまで心拍数上がれんの」


そう言って灰野くんの胸にぴったりくっつけられたあたしの手は、ドキドキドキドキと激しい鼓動を感じて……。


「……あたしも」


あたしも自分の胸に灰野くんの手を持っていこうとしたら、ぐいっと力が入って拮抗した。


「待て待て待て。それは違う……」


「あ……」


は、破廉恥!


「ごごご、ごめん」

「ほんとに藍田さんって……なんでそうなんだよ」


ふいに、灰野くんはこっちを向いた。


「……だから。俺らいつもみたいにギスギスしたら、心臓の音でかき消そ」


< 388 / 400 >

この作品をシェア

pagetop