月夜に花が咲く頃に
もう放課後に暁の倉庫に来るのも日常になってしまった。


「雫ちゃん、モテモテじゃん」


「からかわないで。みんな私をおちょくって何が楽しいんだか・・・・・・」


むすっとする私に、なぜか呆れ顔の三人。


なんだよその顔は。


「そういう明原のクラスは何やるの?1Eだっけ」


「俺?なんかたこ焼きやるとか言ってたなあ。俺参加するつもりあんまないからよく分からんけど」


たこ焼きかあ。


美味しそう。


いいなあ・・・・・・。


「雫、涎出てるぞ」


え!嘘!


慌てて口元を拭うけど、手は濡れることはなく。


出てないじゃん!


ニヤニヤ笑う鬼神をにらみつける。


ほんとにこいつは意地悪な奴だな。


暇さえあればからかいやがって。


もういいよ。明日からの文化祭準備のこと考えよう。


鬼神を無視して頭の中を切り替え、明日からのことを想像する。


やっぱり、楽しみだなあ。


当日は翼と一緒に回りたいなあ。


そんなことを考えていると、自然と頬が緩んでしまって。


恥ずかしくなって、隠すようにお茶を飲んだ。


すると、急に鬼神が私の腕を掴む。


「わっ、ちょっと、危ないじゃん!お茶こぼれたらどうすん・・・・・・」


私の言葉が終わらないうちに、鬼神が乱暴に私の腕を引っ張った。


「痛、ちょっとなに、」


私の言葉を無視して、鬼神は幹部室を出て鬼神の部屋へ。


ほんとになんなのこいつ!



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