日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
渉の重々しい言葉選びに息を飲む。



「妃瀬の最初の試験は犬の殺戮。


約200人の子どもに対して50匹の飢えた
犬が離された。


そこで生き残ったはたったの30人程度。


そこから更に危険を侵しての試験が始まった。



そして、三次試験で
俺は初めて東華様に出会った。



その時の名は黒田 桃華。


まだ殺す事に躊躇いを持って、
暗殺の一族である黒田を恥と思っていた時だ。


その時、東華様は1人の男の子を庇っていた。


ひ弱な彼は、一般家庭で生まれ育ち、
いきなり拉致されてこの試験に入ったらしい。


それを哀れに思った東華様は
ひたすらその少年を守り続けた。



そして、次に会ったのは最終試験前。


その時には、殺すのは当たり前。
1番の解決方法は殺し。


そんなふうに思う程変わっていた。


しかし、少年を握る手だけは
変わっていなかった。


そして最終試験。


それは、最終試験の一個前で、
妃瀬に不適切だと認定された子供を
迫り来る大人達から守りながら、
その子を殺されずに家に送り届ける。


そんなものだ。」
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