間宮さんのニセ花嫁【完】
それから数日が経った。間宮さんのことも気にしながら稽古に励み、お茶会当日が明後日にまで近付いてきた。
今日は大事な他者での打ち合わせがあり、私は間宮さんと共に都内の駅のホームで電車が来るのを待っている。
その待ち時間の間でも時間を無駄にできないと鞄から茶道の本を取り出し復習をしていると隣から間宮さんがその本を覗き込んできた。
「勉強熱心だな」
「わっ、す、すみません。仕事中なのに」
「今は移動中だから大丈夫だ」
日曜日緊張する?、と問われ、私は素直に首を縦に振った。
「まだ人前でお茶を点てたことがないので」
「経験不足なのは仕方がないよ。きっとそこはばあちゃんも分かってくれてる」
「そうですけど……」
本番が近付いて来る度に極度のプレッシャーが私に襲いかかる。いつもはそんなに緊張を感じないタイプなのに、どうしてここまで不安で一杯になってしまうんだろうか。
「(そうか……自分のことじゃなくて間宮さんのことが懸かっているからか)」
もし失敗したら間宮さんの人生まで変えてしまうから。
「佐々本、電車来てる」
「は、はい!」
私は本を閉じ鞄にしまうと慌ててホームに流れ込んきた電車に乗り込んだ。