間宮さんのニセ花嫁【完】



「あ、あの……そんなに見ないでもらえますか?」

「見ないでいいの?」

「いやぁあ! 変なところあったら教えてください!」

「ははは」


彼の笑い声を聞きながら出来るだけ丁寧に茶を点てた。初めの頃はあんなにもぎこちなかったのにいつの間にか流れるように作業が出来るようになった。
綺麗に黄緑の泡が作れた抹茶を正座をして待っている間宮さんの手前に出す。


「しょ、正直な感想をお願いします」

「……」


間宮さんは見た目をまず観察したのち、美しい所作でお茶を口にする。
初めて彼がお茶を飲むところを見たからか、着物を着ている和の雰囲気と相まって何とも幻想的な風景に感じられた。この一面だけまるで別の次元のようだ。


「うん、美味しいよ」

「ほ、本当ですか!?」


やったー!と腕を高く掲げてガッツポーズを決める。今までの努力が無駄にならず、間宮さんの認められたことが心の底から嬉しい。
彼は「初心者だとは思えないよ」とまた私の点てたお茶を褒めてくれる。


「これならきっと上手くいく。大丈夫だよ」

「え、へへ。本当に良かったです」


一先ずは安心だ。だけどまだ不安はいくつかある。それは昨日みたいに何かハプニングあった時に咄嗟に行動できるかというところ。昨日は間宮さんが声を掛けてくれたおかげで我に返ることが出来たが明日は彼もいないだろう。だけどこればかりは本番になってみないと分からない。
すると間宮さんが不安げな表情を浮かべる私にとある提案をした。


「飛鳥、気分転換に外に出ないか?」


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