間宮さんのニセ花嫁【完】
暫くしてテーブルに運ばれてきたあんみつは写真通りの見た目で、あまりに煌びやかな絵面に言葉を失った。
「あ、あの……記念に写真を撮ってもいいでしょうか?」
「大丈夫だと思うが、記念になるか?」
「なりますよ!」
間宮さんにあんみつをご馳走してもらう機会なんてそうそうない。誰かに自慢することは出来ないだろうけど、私だけの思い出として大事に撮っておこう。
あんみつの写真を撮ると早速黒蜜のシロップを掛け、スプーンで掬った白玉を口に頬張る。黒蜜の甘い味が口の中に広がり、白玉のモチモチとした柔い食感に頰が落ちる。
「すっごく美味しいです! こんなに美味しいあんみつ初めて食べました」
「それは良かった」
このあんみつなら何杯でもいけそうだ。食べる手が止まらずにいると不意に視線を感じて顔を上げる。
すると自分のわらび餅には手を付けず、何故かあんみつを食べている私を眺めている間宮さんと目が合った。
「あ、あの?」
「ん、いや。美味しそうに食べるなと」
「だって美味しいですよ?」
「はは、飛鳥を見ていればそれは分かる」
それって、私って分かりやすいってことなのかな。というか何気に家の外なのに下の名前で呼んでくれているな。
そんな自分の安直さに項垂れながら水々しい蜜柑を口に運ぶ。